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結局「家事代行サービス」になっていませんか?

訪問介護の現場では「これくらいならいいかな」と思って引き受けた支援が, いつの間にか本来の役割から離れてしまうことがあります 例えば”洗濯物干し” 筋力が無いから, 洗濯機から洗濯物をかごに入れて物干し台まで運ぶことができない だからそれを手伝う それはいいんです だけど

洗濯物干しまであなたがやってしまっていませんか?

同じようなことは他にも言えて

本当に掃除動作のすべてができませんか?
本当に調理動作のすべてができませんか?

「頼まれたことをして喜ばれる」
これは一見, ”良いこと”のように思えます しかしそれは”ド素人” 本当にお客さまのためになっているのでしょうか?

訪問介護の目的は, できないことをすべて代わりに行うことではありません 健康寿命を維持し, QOLを上げることです ヘルパーが何でも行ってしまうと, その時は良くても, お客さまの「生活力」を奪ってしまいます

では, どこまでが「支援」で, どこからが「やりすぎ」なのでしょうか?
その境界線を知らないまま現場に立つと, 知らず知らずのうちに自立支援からも離れ, 単なる自己満足の”ママゴト”になってしまいます

あなたの仕事が”ママゴト”にならないように, 訪問介護とはそもそも何を目的としたサービスなのか「現場で迷わないための基本」を整理していきましょう

目次

要介護「訪問介護」の定義

「訪問介護」とは

ヘルパーが要介護のお客さまの居宅を訪問し, 入浴・排せつ・食事等の介護, 調理・洗濯・掃除等の家事等を提供するもの
(参考)「訪問介護」厚生労働省老健局

訪問介護は3つの類型に区分されます

  • ① 身体介護:お客さまの身体機能や生活動作の維持・向上に直接関係する支援
  • ② 生活援助:日常生活を維持するための家事等の支援
  • ③ 通院等乗降介助:通院等のための車の乗り降りの介助

①身体介護

  1. 排泄介助・食事介助
    ※特段の専門的配慮をもって行う調理を含む
  2. 清拭・入浴, 身体整容
  3. 体位変換, 移動・移乗介助, 外出介助
  4. 起床及び就寝介助
  5. 服薬介助
  6. 自立生活支援のための見守り的援助
    (自立支援およびADL向上の観点から, 安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)

②生活援助

  1. 掃除
  2. 洗濯
  3. ベッドメイク
  4. 衣類の整理・被服の補修
  5. 一般的な調理, 配下膳
  6. 買い物・薬の受け取り

③通院等乗降介助

  1. 通院等のための乗車または降車の介助
    (乗車前・降車後の移動介助等を含む一連のサービス行為)

要支援「訪問型独自サービス」の定義

訪問型独自サービスとは

要支援者等の自宅を訪問し, 日常生活を維持・改善するための掃除・洗濯などの日常生活上の支援や, 身体介護等を訪問により提供するサービス
(参考)介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)厚生労働省老健局振興課

基本的に, 要介護「訪問介護」の「自立生活支援のための見守り的援助に」近く, 自立支援や見守り的援助に重点が置かれるサービスです したがって, 「完全にヘルパー任せではダメ」「あくまで共に行う」と考えておきましょう

禁止 または原則として実施しない支援

まず大前提として, 法令上可能な行為であってもケアプランに位置付けられていないサービスは提供できません

それを押さえたうえで, たとえお客さまの希望であっても, さまざまな理由により提供できない内容があります

訪問介護は, お客さま本人の日常生活の維持および自立支援を目的としたサービスであり, 次のような行為は原則として対象外となります 

法令上, できない行為

医療行為および専門資格を要する行為を行うことはできません

  1. 医療行為(インスリン注射, 点滴, 経管栄養の注入, 胃ろうチューブの挿入, 創傷処置, 医療的判断を伴う服薬管理, 巻き爪等の処置等)
    ※声かけ促し・手渡し等はこの限りではありません
  2. 専門資格を有する行為(理美容, 治療目的のマッサージ等)
    ※日常生活上の整容援助等はこの限りではありません

訪問介護の業務範囲に含まれない支援

  1. 救急隊の救急活動への同行・補助
  2. 娯楽のみを目的とした外出や趣味活動への付き添い
  3. 冠婚葬祭等への付き添い
  4. 目的のない留守番や見守り, 単なる話し相手
  5. 機能訓練や運動を目的とした支援
  6. 商品の販売, 農作業等, 生業・営利活動に関する援助
  7. 本人の日常生活の援助に直接該当しない行為
  8. 娯楽, 趣味, 地域行事, 冠婚葬祭等への参加を目的とした車の乗降介助
  9. 通院や施設見学の途中での私的な用事による立ち寄り

保険給付の二重利用となる支援

医療保険や施設サービス等で提供される支援と重複する内容は実施できません

  1. 医療機関内での付き添い, 院内介助→医療保険と介護保険の二重利用
    ※ただしケアプランで認められる例外もあります
  2. 施設入居者への介助(一時帰宅中の期間であっても不可)→居宅サービスと施設サービス・地域密着サービスとの二重利用
    ※有料老人ホームなど, 実施できる種類の「施設」のような居宅サービスもあります

記録の書き方

記録は多く書くことが目的ではありません 
「訪問の目的に対して, どのような支援を行い, 結果どうであったか」を記録します 

訪問介護の支援内容は, 大きく次の13項目に整理できます 

1 排泄介助・食事介助
2 清拭・入浴, 身体整容
3 体位変換, 移動・移乗介助, 外出介助
4 起床及び就寝介助
5 服薬介助
6 自立生活支援のための見守り的援助
7 掃除
8 洗濯
9 ベッドメイク
10 衣類の整理・被服の補修
11 一般的な調理, 配下膳
12 買い物・薬の受け取り
13 通院等乗降介助

訪問時は, この13項目のうち訪問の目的に該当するものだけにチェックをします 

例えば, 入浴介助を目的とした場合, 前後に浴室の簡単な清掃や片付けを行ったとしても, 「掃除」にチェックしません

記録例

短期目標:「休まずデイサービスに行く」
→ 当初は行かないと言っていたが, 準備を行い再度声掛けすると最終的にデイサービスへ出発できた

短期目標:「日常生活動作を維持し, できる家事や活動を継続して生活できる」
→ 掃除や調理について相談したが意欲が低かったため, 冷蔵庫整理を本人に確認しながら実施 途中から本人自身が整理を行う様子が見られた

まとめ

訪問介護は, 「頼まれたことを行うサービス」ではなく, お客さま本人の日常生活の維持と自立支援を目的として行うサービスです 
同じ行為であっても, 生活の維持に必要な支援であれば訪問介護となり, 目的が異なれば対象外となります 

訪問介護で行う支援は, 身体介護・生活援助・通院等乗降介助に整理され, 訪問型独自サービスは身体介護の「自立支援」に近いサービスです すべてはケアプランに基づいて実施されます ヘルパーの判断だけでサービス内容を増やしたり変更したりすることはできません 

また, 医療行為や他の保険サービスと重複する支援, お客さま本人の生活援助に直接関係しない行為は, 原則として訪問介護の対象にはなりません 迷った場合は, 「その支援が本人の生活の維持や自立につながっているか」を基準に考えることが大切です サ責やケアマネさんに相談するのがいいですね 

記録については, 何をしたかを細かく並べることではなく, 訪問の目的に対してどのような支援を行い, その結果どうであったかを短期目標に沿って簡潔に記載します 

訪問介護は特別なことをする仕事ではありません お客さまがこれまでの生活を続けられるように, できることは本人に任せ, できない部分だけを支える仕事です この基本を理解することが, 安全で適切なサービス提供につながります