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「成功の秘訣」はない⁉
みなさんは お金持ちになりたいですか? 仕事で大成功したいですか? 世間の大勢の人たちに認められたいですか?
ですよね だいたいみんな そう思ってますよね?
そんな時「私はこうして成功した!」のような 「成功の秘訣」みたいなものを知りたくなりますよね? だけど そんなもの知っても ほぼ無意味です だって この世の中は だいたい「運」なのですから 今回は そんな話です
松本人志さんのポスト
以前 X(旧Twitter)で お笑い界のレジェンド 松本人志さんのこんなポストがありました
天才の成功話はほどほどに聞いといた方が良いよ 天才は振り返り方も天才だから
これ どういうことかというと 「成功談」とか「秘訣」みたいなものの多くは あとから考えたつじつま合わせだから まぁ真に受けず 参考程度で考えておいた方がいいよ ってことです
おそらく成功者の多くは 必死で当たり前のことを頑張っていただけなんだろうと思います はじめから 成功の秘訣が分かっていた人なんていないと思います
みんなに「成功の秘訣は?」なんてことを聞かれるので 「そういえば今になって考えれば あの時のあの出来事が秘訣なのかなぁ~」と ぼんやり答えているだけだと思います それも厄介なことに 人間には”認知バイアス”ってものがあるので 当の本人も「初めから成功の確信があったのだ」と思い込んでしまう
ハッキリ言って 誰でも大成功するような「秘訣」なんてものはありません まずは ここをしっかり押さえておきましょう
成功する人の多くは「普通の人」
みなさんは「才能 vs 運-成功と失敗におけるランダム性の役割」(Talent vs Luck: the role of randomness in success and failure)という論文を耳にしたことはありませんか?
これは イタリア カタルーニャ大学のアレッサンドロ・ブルチーノ准教授らによる研究で 2022年にイグノーベル経済学賞で 非常に話題になりました
どういう内容かというと 「なぜ最も才能のある人でなく 最も運が良い人こそが しばしば成功するかを 数学的に説明した」という内容です 面白いですね
この論文によると 能力がある人が必ずしも一番成功するわけではないことがわかりました
では どういう人が多いのかというと 「平均的な能力」を持っていることが多く しかも 成功には「運」の役割がとても大きいとわかったのです
つまり 「能力があるから」ではなく 「運が良かったから」成功したというのです
能力があっても金持ちになるとは限らない
この論文は 能力と運の関係を定量化し 成功にどのように影響を与えるかをシミュレーションによって調べています
1:人の能力と金持ちのグラフとは一致しない
人の能力をグラフにすると次のように「正規分布」になります
縦軸が能力値 横軸が人数です つまり 人の能力は平均値あたりが一番多くなり 能力が高い人や低い人は 人数が少なくなります 当たり前ですね
一方で 富は次のようなグラフになります
縦軸が人数 横軸が富の量です 「平等」という観点からすれば 能力に応じて 富の量が決まるべきですので 上のような正規分布になるはずです しかし ご覧の通り 実際にはそうはなっていません
つまり あまりお金がない人が多く 金持ちはほんの少数という 不平等が存在するということです
2:能力と運のシミュレーション
このシミュレーションモデルは 才能と運が人のキャリアにどのように影響を与えるかをシンプルに表す
ちょっと見ずらいですが このシミュレーションモデルは 能力と運が人にどのように影響するかをシンプルに表したものです
- 黒色=人間
- 赤色=幸運
- 緑色=不運
とします 能力値は正規分布とし 人が赤や緑を横切ると 幸運や不運の出来事が起きるものとします 初期値はみんな同じお金を持ち 幸運が起こると能力に応じてお金は倍増し 不運が起こると お金は半減するようにしました
3:結果
シミュレーション結果はどうなったでしょうか? 最も成功した人は 能力が最も高い人だったら 「平等」って感じで みんな納得しますよね? だけど そうはなりませんでした
結果 「運に恵まれたそこそこ能力のある普通の人」が成功しやすいことが明らかになりました! 非常に興味深いですね
4:この論文の提言
成功評価における「実力主義」は過信されており 運の役割を考慮した公平な戦略が重要だと提案しています
つまり 個人の能力を正確に測るのは難しいから 「資金」や「成功」といった外面的な成果だけで人を評価するのは どうだろう? ということです
例えば「公的な研究資金を限られた優秀な研究者にだけ多く与えるのはどうだろう?」という問題があります 最近の研究では 大規模な助成金を受けた研究者が必ずしも高い成果を上げていないことが示されています 「優秀さ」よりもアイデアの多様性に資金を配分する戦略の方が効果的である可能性が示唆されているのです
私的補足
ラッキーは ランダムにやってきます あなたが頑張ったから幸運が舞い込むわけではありません あなたが準備をしたタイミングでやってくるわけではありません
「能力主義」という古い考え方を捨てて いつ何が起きても大丈夫なように 常に備えておくのが自然体でいられるようにしましょうね
YouTubeで成功した15歳の少年の例
成功の秘訣はありません では どういう人が成功するのかというと 普通の努力をした そこそこ能力のある人が ずっと続けているところに たまたまラッキーな出来事が起きただけなのです
億万長者になった例は ネットを探せばいくらでも見つかりますが 少々現実味に欠けますよね ですからここでは 私の身近で起こった具体例をあげます
マイクラ好きの少年がいました マイクラとは 子供たちに超人気のゲームです 学校の成績は お世辞にも良いとは言えません いわゆる 普通の14歳の少年です
あるとき彼は アニメ「映像研には手を出すな」に影響され 動画を作っては YouTubeにアップするようになりました その頃の登録者数は リアルのお友達程度 「登録者10人記念」の動画を作るような感じでした ほほえましいですね
そのうち ゲームの音源などを切り貼りし リズムに合わせて音楽的なパターンを作り出す いわゆる「音MAD」にハマりました すると じわじわ登録者が増え続け 1年ほどしたある日 とある動画が注目され 動画再生回数300万越え 登録者数は約1万人に増えました
つまり 普通の中学生だった彼は 1年ほどで 月に数万円ではありますが 趣味の動画で収入を得る高校生になったのです
私の身内の話なので非常に恐縮ですが だからこそ よくわかるのです 彼は 頭脳明晰でも何でもありません 普通の男子です ただ 親に隠れてこそこそを動画を作り 継続して動画をアップし続け それが 世間のニーズにマッチしただけだと思います
SNSなどで収入を得ている近しい人は 少なくとも私の周りに3人います SNSで収益化できている人を ここで仮に「成功」とするならば 彼らに共通しているのは
- SNS上にUPする最低限の努力
- 継続
- 世間のニーズに合った
ただこれだけです 逆をいえば 成功しない人は次の通りです
- 最低限の努力をしていない
- 継続していない
- 世間のニーズと合わない もしくは 世間のニーズに気づかない
先の論文に挙げた通り
「最も成功するのは そこそこ能力があり 運がいい人」なのです
まとめ
- ・他人の成功例が あなたにマッチするとは限らない
- ・才能や努力が 成功するとは限らない
- ・そこそこの能力があって継続している人に たまたまラッキーが重なって 成功する
非常にシンプルですね
逆に ダメな人の例を挙げますので 気を付けてくださいね こういう人は 残念ながら成功しにくいです
- ・どうせ「運」だからと 努力を放棄している
- ・「風読み」ばかりに気をとられ 日々の継続をしていない
- ・準備万端に勉強してスキルアップしてから 物事を始めようとしている
- ・頑張ったご褒美として 何かいいことが起きると思っている
【参考】
和訳してくれていたサイト「イグノーベル賞2022経済学賞の論文『Talent vs Luck: the role of randomness in success and failure』を読む」