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「あなたは その仕事の中身をどこで学びましたか?」
多くの方は「先輩や上司からの“又聞き”」ではないでしょうか?
そんな人ほど, “根拠のない情報”に振り回され, 無駄な仕事をします
介護保険証のコピーを後生大事にとっていませんか?
血眼になって, お客さまの署名入りのケアプランを求めていませんか?
別に悪いことではありませんが, ただでさえ忙しいのに, 現場にも入らず, 書類集めだけやっている人が偉いなんて, おかしくありませんか?
効率的に, 正しく仕事をこなす方法
――それは「赤本・青本の通りに仕事すること」なんです
赤本・青本って結局ナニ?
赤本=運営のルール
青本=お金のルール
通称「赤本」:事業所の指定運営基準
- 訪問介護事業所の「運営ルール」
- 悪質な場合:過去に遡ってお金の返還・事業所の指定取消
- 法令「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(リンク先へ飛びます)
通称「青本」:介護報酬の算定基準
- 各サービスの「お金のルール」
- 悪質な場合:過去に遡って対象のお客さまのお金の返還
- 法令「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(リンク先へ飛びます)
参考:介護報酬の解釈(社会保険研究所)(リンク先へ飛びます)
単位数表編:通称「青本」
指定基準編:通称「赤本」
QA・法令編:通称「緑本」
そして, お客さまの自立支援と尊厳保持, 事業所の質の確保と保険給付の適正化の支援をしてくれるのが, 自治体の「指導監督」です
そもそも監査って?
基準違反・不正・お客さまの危険 がなければ, ビビる必要ナシ!
通称「監査」 正しくは, 指導監督のうち運営指導(個別の事業所に対して実地で行う指導)です 旧来型の指導監督は「廃止」され, 新たな通知に基づいて行われます
参考:介護保険施設等の指導監督について(厚生労働省)リンク先へ飛びます
指導監督はあくまで
- お客さまの自立支援と尊厳保持
- 介護サービスの質の確保と保険給付の適正化
ですので, 決して高圧的ではなく, 事実に基づいた 説明・助言・改善促進に基づいた支援が重視されます ただし
- 基準違反の疑い
- 不正の疑い
- お客さまに危険がある場合
直ちに 「監査」 に切り替え, 詳細な事実調査を行います
しかし毎日ちゃんとお仕事していればビビる必要は全くありません
赤本・青本の通りに仕事をすれば, あなたの仕事は楽になり, 正しく効率的に仕事ができるようになります ここでは法的根拠を示したうえで, サ責の日々の業務を見直しいきます
※( )内は法令根拠などです
・条番号は「運営指定基準(赤本)」
・「算定基準(青本)」は条番号がないのでそのまま記載
・( )のないものは, 当事業所の解釈
※特定事業所加算Ⅱを取得している事業所を前提に解説します
契約・法改正にやること
何より先に 契約書・重要事項説明書の「日付」(第8・28条)
契約書・重要事項説明書の日付は, 何より最初でなければなりません
緊急やむを得ず契約書類が間に合わない場合は, 後日改めて「署名」「交付」を行ないます なおその際にはあらかじめ口頭で説明をお客さまの同意を得たうえで, 支援記録にその理由を必ず記載します なお, 緊急時の契約についての記載は法令にありませんが, お客さまの不利益が無い限り, 形式的な瑕疵のみでは直ちに不当とはならないと考えます
ちなみに, 契約等はデジタル書類による署名でもOKです
文例:「ご自宅にて, 本人に契約・重要事項の説明 同意を得て, 交付」
文例:「〇〇の理由で書類が間に合わないため, 自宅にて本人・家族に口頭で説明・同意を得て契約・重要事項の了承 後日書類の署名・交付を行うこととなった」
「個人情報使用の同意」は, 契約書・重要事項説明書でもOK(第33条)
古い事業所は, 「個人情報の使用に関する同意書」に署名をもらっていると思います 確かに法令に「書面による同意」を求められていますが, 多くのお客さまはスラスラ字が書けなくて億劫ですよね 個人情報の使用に関する同意を契約書, または重要事項説明書に盛り込んでおけば, 解決します
介護保険証のコピーは不要 記録に残せばOK(第11条)
介護保険証や負担割合証をわざわざコピーして, 紙で保存する必要はありません 「確認した」と記録しておけばOKです スマホ撮影したデータを事業所のクラウドに保存しておくと, 楽チンですよ!
文例:「介護保険証・負担割合証を確認 番号〇〇 期間〇〇~〇〇 認定日〇/〇 交付日〇/〇 〇割負担 居宅の登録日〇/〇~」
チェックしよう
- ☑契約書・重要事項説明書(個人情報使用の同意書)の日付は一番最初になってますか?
- ☑介護保険証の確認記録, もしくはデジタルデータはあるか?
- ☑契約書が後日になった場合の記録はあるか?
担当者会議~訪問介護計画書でやること
提供された基本情報・アセスは保管する(第14・28条)
最初にケアマネさんから提供されたお客さまの「基本情報」や「アセスメント」などの情報は, 必ず保管します これが「ケアマネ等との連携の証」になります
なお, 書類でなく口頭の説明の場合は, その旨を記録に残しておけばOKです
文例:「ケアマネより書面にて基本情報・アセスメント等の情報提供を受けた」
担当者会議に出席した記録(第28条)
担当者会議はケアマネ等との連携の証ですので必ず記録 あとは本案となった「ケアプラン原案」に「本案」と手書きで記載し, それを保存すればOK 変更があっても, 手書きで書き込んだものでOKです
ケアプランに記載の無い内容は絶対にNG 訪問時に思い付きで追加の要望を言いそうなお客さまには, あらかじめあらゆることを想定し, 担会で事前に確認しておきましょう
なお, ケアマネの「担当者会議議事録」や署名入りの「ケアプラン本案」そのものを入手する必要はありません
文例:「〇/〇 ご自宅で担当者会議 原案に変更なし(あり)」
訪問介護計画書(第16・22・23・24・28・39条)
署名の日付は「担当者会議~初回訪問」の間
訪問介護計画書にも, 説明・同意が必要 日付は担当者会議~ヘルパー初回訪問の間です
署名だけのために何度もお客さま宅を訪問するのは非効率ですので, 理想は
- 担会前にケアプラン原案を入手
- 担会までに訪問介護計画書を作成
- 担会当日に署名をもらう
これが効率的です
計画書作成は”秒”で終わらせましょう 作り方のコツは以下の記事をご覧ください
サ00-【完全解説】訪問介護実務を一撃理解!サ責・脱初心者ガイド「⑤訪問介護計画書等の作成」
ケアプランに変更があった場合は, 担会の場で手書き修正すればOK 介護ソフトは修正しておきましょうね
訪問介護計画書の内容は, ケアプランに沿う
計画書の長期・短期目標はケアプランに合わせるとスムーズです 意味ある計画になるように, ケアプランの目標を達成できる支援内容にし, 2回目以降は前回のモニタリング結果を踏まえた目標にします
プランにない内容は絶対にNG あらかじめ起こり得る状況を想定した計画にします
ケアプランの本案は, 計画書とセットで保存 計画書の終了から2年間保存です なお, 署名入りのコピーである必要はなく, 単会で原案に手書きしたものでOKです なお「2年間」とは上記の解釈が一般的ですが, 自治体によって解釈がことなる場合があるようですので不安な方は確認しておきます
訪問介護計画書を交付する(第24条)
計画書は2部準備し, 一部はお客さまに交付します
文例:「自宅にて本人に計画書の説明 了承を得て交付」
チェックしよう
- ☑ケアマネから提供された基本情報・アセスを保存(口頭説明の場合は, その内容を記録)
- ☑担当者会議の記録
- ☑計画書とセットのプラン本案を保存(手書き修正したものでOK)
- ☑訪問介護計画書はプランに沿った内容にする
※計画書に沿った「基本情報・アセス」「ケアプラン」「計画終了時のモニタリング」をセットで保存しておくと便利!
ヘルパー訪問時の留意点

身分証の携行(第18条)
忘れがちですが, 各ヘルパーの身分証明書は必須 特に大きな病院等で顔写真入りの身分証を求められることがありますので, 頭に入れておきましょう
ヘルパー記録を確認し, 2年保存(第23・28・39条)
ヘルパー記録は, 訪問介護計画書に沿った内容のみ行っているかをチェックします その他, 心身状況の変化など, モニタリングに活かしましょう
ケアマネへの報告は, ヘルパー記録の抜粋だけでもOK
なお, ヘルパー記録も2年保存 計画書と同様に, 計画書の期間終了時から2年間ですが, システムに入力していれば, わざわざ紙で出力する必要はありません
チェックしよう
- ☑身分証
- ☑ヘルパー記録
モニタリングの留意点
定期的にモニタリングを実施(第24条)
定期的なモニタリングが必要です 通常は, 短期目標の終了時でOK ケアマネさんと異なり, 毎月実施必要はなく, あくまで「定期的」に行うことが求められます ケアマネさんへの毎月の報告と混同しなくても構いません
モニタリングは介護システムに沿えばOK(第13・23・28条)
定期的なモニタリングでは「心身の状況等の把握」「意向確認」「相談への助言」等を行い, その内容を記録します その詳細な内容は, 介護システム→「訪問介護計画書」→「評価欄」に網羅されていると思います その記載だけで十分です
なお, モニタリングの実施記録を支援記録に入力しておくと, あとで見返すときに便利ですよ
文例:「自宅訪問し本人に面会 モニタリングを行った」
ケアマネジャーとの密接な連携(第14条・第28条)
ケアマネージャーとの密接な連携が求められますが, 皆さん日々の業務で, 計画変更の必要がある場合は, 電話・LINE・口頭などで適宜連絡したり, 毎月の報告で訪問記録の抜粋などを送信するなどしていると思います それさえ行っておけば十分 ケアマネに報告した記録のみ, 支援記録に残しておきましょう
文例:「本人より支援内容の変更の要望を受け, ケアマネに電話で報告」
モニタリング結果の反映・保存(第24・28・39条)
毎月の報告・訪問介護計画書の評価を行なったら, ケアマネさんに報告します ケアマネさんが次回の計画書に反映できるよう, 計画終了月の初めに, 実績などと一緒に提供するのが理想です ケアプランにモニタリング結果が反映されていない場合は, 次回のケアプラン原案を確認した時点で, 速やかにケアマネさんに連絡・相談しましょう
なお, モニタリングを行った記録, モニタリング票(訪問介護計画書の「評価」), モニタリングを行った記録は2年間保存です 期間の解釈は, 計画終了から2年間が一般的な解釈ですが, システムに残しておけば, 気にする必要はありません
チェックしよう
- ☑モニタリングを行った記録
- ☑モニタリング票(訪問介護計画書の「評価」)
- ☑ケアマネに連絡・報告した記録
その他(運営・体制・管理)

「お金」の記録は5年保存が無難(第20条)
介護保険の時効は「2年」ですが, 金銭の給付を目的とする自治体の権利の時効は5年です これが根拠となり, 「5年保存」を謳っている自治体が多いようです 具体的には「介護予防・日常生活支援総合事業費」などですが, いろいろと覚えることがあってややこしいのでシンプルに「お金の記録は5年」と覚えておきましょう 介護システムを使っていれば, そこにログが残っているので, 特段書類を残さなくても大丈夫です
介護の質の向上・事業所の自己評価(第22条・第30条・算定基準)
事業所は自ら訪問介護の質の評価を行い, 常にその改善を図らなければなりません 介護の質の改善のために
- ・ヘルパーミーティングの実施・議事録
- ・ヘルパーへの指示に対する報告の記録
これは日々の業務で行っていると思います
その他 特定事業所加算や処遇改善加算を算定している事業所は
- ・事業所の自己評価と改善の取組を記録
が必要です 介護サービス情報公表システムや事業所Webサイト等を上手に活用しましょう
ヘルパー研修計画および研修記録(第22条・第30条・算定基準)
職員個別の研修計画は前年度までに作成しなければなりません 個々に違った研修が望ましいですが, 現実的には難しいと思いますので, いくつかにグループ分けをしてまとめて行っても問題はありません 年度途中に採用した職員は, その都度計画を追加します
また, 研修を行った記録は残しておきましょう
文例:「〇/〇(日付) 〇〇・△△・□□(職員名) ■■■について(研修内容)を実施」
災害・感染症BCPおよび虐待防止(第30・31・37条)
災害・感染症BCP・虐待防止は, 指針・定期的な指針等の見直し・研修・訓練・委員会の開催が必要 その具体的な方法は, 事業所にやり方でOK それぞれ, 日々の業務の中で区別して行うことは現実的ではないので, ミーティングや研修などと併せて定期的に行うと, 効率的ですよ
文例:「〇/〇 自然災害におけるBCP研修・および委員会を開催 指針について〇〇を一部変更することとなった」
文例:「〇/〇 感染症における訓練 BCPに基づき, ビジネスチャットツールを活用して開催した」
定期健康診断・勤務体制・人員配置・資格管理(第5条・算定基準)
職員に対し, 定期健康診断を年一回以上行わなければなりません その実施記録(関連書類)を保存しておきましょう
勤務体制・人員配置等は, 概ね以下の通りです
| ヘルパー人員配置 | 2.5人以上 |
| サ責配置 | 利用者40名につき1名以上 |
| ヘルパー資格要件 | 介護福祉士が3割以上 または 介護福祉士等が5割以上 |
| サ責資格要件 | 介護福祉士等 |
- ※人数はいづれも常勤換算
- ※公休・有給・特別休暇等は出勤扱い
- ※介護福祉士等とは:介護福祉士・実務者研修・基礎研修・1級ヘルパー
勤務体制・人員配置は, 毎月の勤務表を保存しておけばOKです
苦情・事故・虐待・身体拘束・お客さまの不正に関する記録(第23・26・36・37・38・39条)
苦情・事故・虐待・身体拘束 またお客さまの不正受給を確認した際には記録を行い, 必要に応じて国保連や市町村等に報告しなければなりません ただしこれらは, 発生した場合に, その都度記録すればOKです
チェックしよう
- ☑国保連請求・集金に係る帳簿・記録(介護システム等でOK)
- ☑ヘルパーミーティング議事録
- ☑ヘルパーからの報告(議事録・ビジネスチャットツール等でOK)
- ☑事業所の自己評価および改善の記録(議事録・介護サービス情報公表システム・事業所Webサイト等)
- ☑ヘルパー研修計画・記録
- ☑災害・感染症BCP, 虐待防止の研修・訓練・委員会記録
- ☑定期健康診断の書類
- ☑出勤簿
- ☑資格証の写し・管理記録
まとめ
ここまで, 契約・計画・記録・モニタリング・体制管理について確認してきました 改めて大切なのは「書類を整えること」そのものではなく, その背景にある考え方を理解することです
介護の現場では, 想定どおりにいかない場面が必ず起こります そのときに必要なのは
- 迷わず判断できる基準
- 後から説明できる記録
完璧である必要はありません しかし
- なぜそう判断したのか?
- 何を説明し, 何に同意を得たのか?
これを残しておくことが, 結果としてお客さまを守り, 事業所を守り, 結局は自分自身を守ることにつながります
今回の内容が「これで大丈夫?」と立ち止まったときの判断のよりどころになれば幸いです