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職場で 自由に意見を言えますか?
現場のことを一番よく分かっているのは, ヘルパーの皆さんのはずです ところが, 意見を言おうとすると, こんな雰囲気になっていませんか
・上司が不機嫌な顔をする(気分で態度が変わる)
・「あなたたちに頑張ってもらわないと!」と言うだけで実は「丸投げ」する
・人手不足でも責任者はシフトに入らない
・「それ, 以前やったけど, ダメだったわ」と最初から否定(変える気ないやろ!)
・「私が若い頃はね…」と昔話や武勇伝が始まる
もしこんな職場だったら, 誰でもやる気がなくなりますよね これって実は, 単なる「人間関係」ではありません 組織の質や安全性に直結する問題なのです
俗に言う「豆腐メンタル」や「蚤の心臓」 これを私は「子ジカ」と呼んでいます 弱々しくて, 大きな物音がしたら, すぐに逃げてしまう かわいくないですか? 私だけでしょうか…
今回は, この「子ジカちゃん」のためのメンタルの持ち方です
先に, 方向性を言っちゃえば「知識をつける」ことで, 「せめて親シカにはなろうぜ!」的なことです シカさんも「怖くない」って学べば, 働きやすくなるでしょ?
目次
ミスの報告が多いほど「いい病院」

皆さんは, こういう話を聞いたことがありますか?
医療ミスが少ない病院ほど『ミスの報告』が多い
(参考)「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」Amy Edmondson(1999)
このことを示す有名な研究があります この研究では, 医療ミスが多い病院と少ない病院を比較しました すると, こんな結果が出ました
重大な医療ミスが少ない病院ほど「ミスの報告」が多かった
これって, 皆さんの直感と反対ですよね?
「ミスが少ないなら, 報告も少ないはずでは?」普通はこう思うかもしれませんね では, なぜこのような結果になるのでしょうか?
キーワードは「心理的安全性」

この研究のキーワードは「心理的安全性(Psychological Safety)」です これは
ミスや疑問を言っても責められない雰囲気
のことです 例えば, 皆さんは上司にこう言えますか?
・「すみません, ここミスしました」
・「このやり方は危ないと思います」
・「分からないので教えてください」
こう言ったときに
「なんでそんなことも分からないの!」
「余計なこと言うな」
と言われそうですよね? コンプラが煩い現代でも, 上司は起源悪くなりそうですよね? だけど, ミスが少ない病院は「ミスを隠さない」のです
ではなぜ「医療ミスが少ない病院ほどミス報告が多い」のでしょうか?
理由はとてもシンプルです 医療ミスが少ない病院は「小さなミスでも隠さない」のです 「ヒヤリ・ハット」の報告が, 「罰」になっていないということですね ですから, 逆を言えば”ヒヤリ・ハット”が出てこない病院の方こそ, 重篤な医療ミスが多いということになってしまうんです
こういう事業所は, 得てして雰囲気が悪い 雰囲気の悪い職場ではどうなるでしょうか?
・怒られる
・評価が下がる
・嫌われる
そう思うと, 人はミスを言わなくなります
つまり
ミスがないのではなく ミスが見えなくなる
これが一番危ない状態です だから研究では, こう言っています
良い組織とは
ミスが少ない組織ではなく
ミスを話せる組織である
これは介護現場でも同じ

この話は, 介護の現場でも全く同じです 例えば
- ・ヒヤリ・ハット
- ・利用者さんの変化
- ・危険なやり方
- ・業務のムダ
こういうことは, 現場にいるヘルパーさんが一番よく見えています
しかし
「余計なこと言うな」
「文句ばかり言うな」
と言われる職場では, 誰も言わなくなります
その結果
問題が放置され, 事故やトラブルが起きやすくなります
逆に
「気づいてくれてありがとう」
「一緒に考えよう」
と言える職場では
- ・事故が減る
- ・仕事が改善する
- ・働きやすくなる
という良い循環が生まれます
心理的安全性は「甘い職場」ではない

ここで一つ誤解があります 心理的安全性というと
- ・優しい職場
- ・何でも許される職場
と思われがちですが, そうではありません 心理的安全性を勘違いして「従業員ファースト」になってしまうと
- お客様が困っていても自分の休み優先
- ヘルパーがお客さまを選ぶ
- 進んで学習しない
- そのくせ「給料を上げろ」と言う
こうなってしまいます これでは「福祉の仕事」と胸を張って言うことはできませんよね
本当の心理的安全性とは, 意見を言えるけれど, 議論もできる職場なのです お客さまのQOL向上のために
- 「それは危ないと思います」
- 「このやり方の方が良いのでは」
とお互いに言えることです つまり
自分には努力を お客さまには最善を
従業員一人一人がそのために精進する これが良いチームです 進化し続ける良い組織なのです
ここから学ぶこと

良い職場の雰囲気は, 誰か一人が作るものではありません みんなで作るものです
しかし多くの人は, 愚痴は言っても, 意見をちゃんと言いません もしかすると, それほど仕事にコミットしていないのかも知れませんが, こう考えている人もいると思います
- ・私なんかが言わなくても, 皆分かっているだろう
- ・平社員が言っても会社は変わらない
- ・意見すると, 上司が不機嫌になると困るから…
- ・自分に教養がないのがバレるのがイヤだから…
ハッキリ言って, 介護職の皆さんは みんな”忖度”し過ぎだと思います
確かに, 現場の私たちが声を上げても, 国の制度は変わらないかも知れません しかし
- 施設長が, あなたほど手早くオムツ交換できますか?
- 事務長が, あなたほどスムーズに掃除支援できますか?
- ドクターが, あなたほど効率的に買い物支援ができますか?
職場の雰囲気は, 厚生労働省ではなく, 現場の人間が作るものです
- そりゃたまに”スーパー陽キャ”がきて, 一時的に現場の雰囲気がよくなるかも知れない
- そりゃたまに, 手早く排泄介助ができる管理者だっているかも知れない
だけど, そういう人, 長続きしていますか? ずっと継続できないでしょう 下手したらもうやめてるでしょう ですからみなさん, もっと自信を持ちましょう
結局, この世のすべては役割分担 皆さん一人一人が, 現場を支える大事なピースなのです
だからこそ
事業所は, ヘルパーが何でも言えるような気づかい
ヘルパーは, 気づいたことを何でも言うちょっとした勇気
お互いの歩み寄りが必要です そのために皆さん一人一人ができることは
- ・分からないことを聞く
- ・ミスを報告する
- ・改善を提案する
こういう空気を, みんなで作り上げることが大切なのです
心理的安全性とは

心理的安全性とは
- ・単なる仲良し関係ではない
- ・責任がない職場でもない
- ・何でも許される環境でもない
大事なのは
ミスが起きたときに すぐに言える関係
ミスを指摘されれば, 誰でも嫌な気持ちになります それは, 現場のヘルパーも, 上司も同じこと そこから逃げていては, 良い職場なんて一生巡り合えません 少々嫌なことがあっても, それでも
お客さまに最善を尽くす そのために, お互いに言い合える関係
それが良いチームです 少なくとも, 私が一番信用する人は, より良い介護のために, 職場環境のために, ひいては売上アップのために, 私に意見できる人 そんな人を私は一番信用します 単なる太鼓持ちなんて, 私はすぐに見抜いてしまいますよ