「100の言葉より、1回のアイコンタクト!」

誰でもプライベート空間の最たる自宅に、あかの他人を入れたくないものです。ですから、お客様はあなたのことをよく観察するのは当たり前のこと。そこで鍵になるのが、「接遇」です。

Q:突然ですが、問題です。

お客様にこう言われたら、どう対処しますか?

Aさん(82歳・女性)はある日、ヘルパーのBさんに「娘たちは私を見捨てるつもりなの」とつぶやいた。

長女は市外在住、次女は市内在住、三女は県外に住んでおり、それぞれ子育でや夫の親の介護に忙しい。

次女は頻繁に帰省しないが、月に1~2回程度、長女・三女は、年1回帰省している。

あなたが訪問ヘルパーの立場だったら、どう答えるのが適切だと思いますか?

泣き顔の老女
あなたならどう返答しますか?
訪問ヘルパー

A1

「そんなことはありませんよ。優しい娘さんじゃないですか~!」

A2

「どうしてそんな風に思うのですか~?」

A3

「娘さんたちも忙しいんですよ。そんなこといったら、もう来てくれなくなりますよ~(笑)」

押さえておきたい”勘どころ”

  • 「接遇」は、「お世辞」や「おべっか」と思われがち。だけど、違います。一瞬でお客様の信用を失いかねない、非常にデリケートな問題です。

実は、クレームのほとんどは、「接遇」がらみなんです。

接遇とは、お客様に対する態度・言葉遣い・おもてなしなど、接し方のことです。

もし、接遇を間違うと、、、

  • どこか、○○さんとは合わない
  • 忙しそうだから、話が切り出せない
  • 「次がある」と取り合ってくれない
  • 挨拶もしない
  • 食事が不味い
  • 掃除してくれない
  • 信用できない
  • 何をされるかわからない
  • ・・・etc.

こう、表現されてしまいます。

お客様の言葉を、そのまま鵜呑みにしてはダメ!!

お客様の多くは、思いを正確に表現できるととは限りません。その言葉の奥には、

  • そのまま言うと恥ずかしい
  • プライドが傷つく
  • こちら側(お客側)にも否はあるし…
  • 波風を立たせたくない
  • 次から辛くあたったりされないだろうか…

などなど、さまざまな思いがあるのは、普通のことなのです。

クレームの実際

  • 「信頼関係」があれば、普通、クレームは起こりません。
  • クレームがあるのは、「信頼」がないからです。勘違いの”馴れ合い”はないか、”世話してあげてる”という慢心はないか、自己点検してみましょう。

1000の理屈より、1回のアイコンタクト!

  • いくら手早く掃除や調理ができても、そこから信頼は生まれない。
  • お客様の言われた通り正確に行っても、信頼は生まれない。
  • だってお客様が「ああ言った」「こう言った」はナンセンス。

表情、傾聴、伝わる言葉。これが大切です。要するに、接遇がよければ、クレームはあまり起きないのです。

人間の判断・理解は、8割見た目、2割が音や簡単な単語・臭いなどです。

ほとんどの方は、「論理的な言語理解はしない」くらいに考えてちょうどよいでしょう。なぜなら、人間は理屈じゃぁなく感情で生きるからです。

人間がどうやって判断するか

したがって、いくら掃除や調理を速やかに終わっても、お客様の要望を完璧にこなそうが、

穏やかな笑顔が作れなければクレームがきます。

他愛もないお客様の会話を聞かなければクレームがきます。

お客様に伝わらなければクレームがきます。

いくら法律に載っていなくても、クレームがくるのです。

逆に、ちゃんとお客様の顔を見て穏やかな表情で接すれば、お客さまは良い感情を抱きます。1回のアイコンタクトは、1000の理屈にも勝ります。

見た目と感情が大事。伝えるなら文章じゃなく単語で!

繰り返しますが、人の判断はほとんどが見た目や感情です。言語理解はほぼしません。したがって、表情・傾聴・伝わる言葉に留意しましょう

表情

一番大事です。人は、ほぼ表情で理解します。そして、表情にとても敏感です。

お客様にはさまざまな方がいらっしゃいます。

  • 要求が多い方
  • 長年風呂に入らない方
  • 全く掃除しない方 などなど、、、

さまざまな方の全員に共感できませんよね。。。しかし、顔にでていませんか?点検しましょう。

傾聴

みんな話を聞いて欲しいのです。優しい言葉をかけて欲しいのです。しかし、口下手な方もたくさんいらっしゃいます。

  • 無口な方だから、、、
  • 何も言われなかったから、、、

と声かけや傾聴を怠ると、

  • あの職員は無愛想だ!
  • ヘルパーさんは機嫌が悪いのかな?
  • 他の人には愛想よくするが、自分は嫌われているのかな? などなど

あらぬ勘違いの火種になり、クレームに繋がります。

伝わる言葉

挨拶、申し送りなど、「した・しなかった」「言った・言わなかった」でモメるのは愚の骨頂です。お客様とケンカしても、100%勝てません。

クレームというのは、事実が問題ではありません。相手に伝わらなかったことが問題なのです。

言い訳のための前置きや、ややこしい言い回しは、ほぼ理解されません。ムダです。その方が認知症であればなおさらのこと。

相手に伝える際は、単語1~2語程度で、確実に伝えましょう。

例えば、

悪い例:

「○○さんは、居間を掃除して欲しいとおっしゃられましたが、もう、数週間もトイレを掃除していないと思います。娘さんにも言われているし、トイレが濡れていると転倒の危険にもなるし、他を掃除すると、また、トイレを掃除できないかもしれないから、今日はトイレを先に掃除させていただいても、差し支えありませんか?」

どうでしょう?文字を読むのもいやでしょう?それより、

「トイレ」

「いいですか?」

掃除用具を持って指させば、十分伝わります。

無意識にやってない?実はNGかも!

✕他人の不満をもらすお客様に「そうなんですか!」「それはひどいですね!」と、話にのっかる。
○「難しいですね」「私には難しいですね」と、事実の判断をしない。それより、「辛いですね」と感情に寄り添う
✕家族の不満をもらすお客様に一緒になって、「(息子・娘さんは)ひどいですね!」と、話にのっかる。
○「お身内のことは難しいですね」と中立を貫くのが無難。実際に会ったら”コロッ”と態度を変えることが多い。特に実の子であれば、9割差し引いて考えるくらいでちょうどよい。
✕個人的付き合い・政治・宗教・金銭授受等、明らかにダメな要望について「会社に聞いてみます」と判断を先延ばしにする。
○明らかにダメな要望については「ゴメンナサイ。それはできません。」とその場で結論を出しましょう。「会社に聞いてみますね」というと、こちらは遠回しに断ったつもりでも、お客様は期待して待っていることが多い。
✕説明に専門用語を連発する。
○時々こういう事業所や病院の職員さんをみますね。筆者の個人的意見ですが、単なる職員の自己満足でしかないと思います。お客様はうなづいても全く理解していません。どの世界でも専門用語は極力使わずに。
✕計画書にないことを「決まりですのでできません」と断る。
○筆者の個人的感想ですが、例えば介護保険でできない代表選手「窓拭き」と聞くだけで、真面目な方だと即座に断る方が多い気がしますね。世の中、例外のない規則はありません。窓拭きも、「介護保険の訪問介護では算定できない」だけです。それより内容と理由を聞いてみましょう。判断つかなければ、それこそ、会社に相談すれば良いのです。
✕行き違いがあった時、「以前も言いましたが、〇〇」と言う。
○「前に言った」は火に油を注ぐ代表ワードです。それより、こちらに落ち度が無くても、「こちらの説明不足で申し訳ありません」と相手を立てることで、場が収まるケースが多いですね。
✕「タメ口」「うん」を多用する
○付き合いが長いお客様に親近感を込めて敬語を略したり、標準語が通じない方にあえて方言で話すことはあります。しかし、実はこれ、かなりの高等テクニックです。ちなみに私は、適切に「タメ口」や「うん」を使いこなす人を見ることはごくまれです。多くは、「勘違いフレンドリー(筆者造語)」です。本人はよくても、家族はよく思ってないことがほとんど。親近感は他でも表現できます。もっとよく考えましょう。
✕話の長いお客様に「次がありますから」と話をさえぎる。
○マシンガントークの方、多いですよね、、、。みんな、話をしたいのです。みんな、思いを聞いてほしいのです。しかし、つい、言ってしまいますよね!業務の都合上、毎回は無理ですが、最初の1回だけ、しっかり話を聞くことが、逆に次回からスムーズになることもあります。1回話を聞くと、「あぁ~あんたには、前に話したもんね!」と相手に思ってもらえば、作業しながら話を聞いても大丈夫になることもありますよ。
✕「こちらの方が安いですよ」という
○みんなが安さを追求するから、円安は止まらないのです。物事には適切な費用と適切な対価があります。

トラブルに発展したら

  • 即座に事務所に連絡。時間がすべて!
  • お客さんとケンカしたら100%負ける!
  • 感情的になった相手に言語理解はムダ。
  • 従業員の言い分や会社の言い分は、1%も伝わらない!
  • 論破は厨二病のファンタジーだと心得よ

冷静さを失った時点で、仕事になりません。なんでもそうですが、交渉は、利き手や質問する側に回ったほうが吉です。相手は”攻め”のカードを使い果たしたら、残るは”許す”カードしか残らないからです。

私たちは、その方に本当に必要なサービスをお届けするために、活動しています。私たちの活動の価値は、お客様・従業員・会社の三者が満足することです。

お客様は神様ではありませんし、従業員だけが働きやすい環境でも、会社だけが儲かってもダメです。そんな事業所は、数年で行き詰まるでしょう。

トラブルに発展したら、冷静ではいられないでしょうが、そんなときこそ、私たちの理念と価値を忘れずに!


うえへ