動画版は近日公開予定
「”はじめ”は良かった」
ヘルパーが故意にしているお客さまがいた そのうち どんどん仲良くなっていった
郵便物を出してあげたり 決められた仕事以外も依頼されるようになった
また ヘルパーの方からも「これしてあげましょうか」と提案するようになった
そのうち
「いつも世話になっているから」
とドリンク剤などをくれるようになった 自分は飲まないので 人にあげた
「いつもドリンク剤をくれるから」とヘルパーは 時々 お土産などを持っていくようになった
物品のやりとりはどんどんエスカレートし
お互いの「喜ばせ合戦」になる
旅行に行く話をする お客さまは「餞別を渡さなきゃ」と思う
ヘルパーは きちんと”のし袋”に表書きして準備された「餞別」を断りづらくなり つい受けとってしまった 中身を見ると 結構な大金が入っていて 「心から感謝」 もっと便宜を図りたくなった
みなさんお気づきのように ヘルパーはすでに 正常な判断ができなくなっている
二人はどんどん仲良しになり なんでも言える間柄になったような気がした
やがて 「実は私これ飲まないの」とドリンク剤を断った
すると お客さまは機嫌をそこねる
ある日 ヘルパーが以前から楽しみにしていた家族とのお出かけ
ところがお客さまから直接電話がかかってきた
「これから来てくれないかしら」と
「ごめんなさい 今日は行けないの」
すると お客さまは 事務所にクレームをした
翌日 ヘルパーは事務所で注意を受けた
次の訪問のとき
「信用しているのになぜ事務所にいうの?」
と軽い不満をお客さまに伝える
やがて 時々口論をするようになり そのうち そのお客さまに訪問しづらくなってきた
そして別のヘルパーに担当替えをしてもらった
お客さまは怒って「事務所」に猛クレームをした
「あのヘルパーさんしかうちによこさないで」「以前 餞別を渡したのに 全く恩知らずですね そちらの事業所は」
こうなってはもう おしましです
やがて これまでの蜜月の付き合いは お客さまのクレームによって すべて明るみにでた それだけじゃない ある事ない事 いろいろな苦情を言われた
「だいたい態度がなってない」「言葉遣いがなってない」「掃除が雑だ」「ドリンク剤は毎日あげていたのに」などなど・・・
結局 このヘルパーは 仕事を辞めざるを得なくなった それどころか 金銭をもらったことが問題になり 役所の調査 その噂は この狭い田舎を駆け巡り もうどこの介護事業所でも雇ってもらえなくなってしまった
ね?こういうことなの
具体例と予想されるリスク
お客さまの気持ち
お客さまは 全員 ヘルパーを固定したがります 稀にいろんな人に来て欲しい人はいますが まぁ99%は固定したがると考えてよいでしょう
その気持ちはほんとうによく分かります だって 一番プライベートな場所に 来るのですから 変な人に来てほしくないと思うのは人の常ですね
また 在宅の多くのお客さまは「親身になって世話してくれる家族」を求めています どんなにヘルパーが良くしても たまに来る実の息子には 絶対に勝てません 絶対にです
しかし 親身になっていつも世話してくれる家族がいないから ヘルパーの必要があるのです 「家族が欲しい」が本音 だから ヘルパーを固定したがるのです
一方で 中には 「ヘルパーに報復されるのが嫌だから」とクレームを我慢するお客さまもいらっしゃいます
人の心は 分からないものですね
個人的付き合いの具体例と考えられるリスク
それでは 具体例とリスクを挙げてみましょう
- 電話番号を教える:お客さまから仕事外で訪問依頼がくる
- 住所を教える:お客さまからお中元やお歳暮が送られてくる
- 家族構成を教える:「子供に」とお菓子を準備する
- 家族の仕事先を教える:家族に仕事を依頼する
- 宗教を教える:宗教に勧誘される
- 旅行の予定を伝える:餞別を準備する
- 家族イベント(子供の卒業式など)を教える:お祝いを準備する
- お菓子や物品を持っていく:お返しをしようとする
- タクシーや自家用車にお客さまの品物を預かる:紛失の可能性
- 仕事以外でのちょっとした買い物:仕事外の「お遣い」がエスカレートする
- 子供を見せに行く:子供に餞別を準備する
- 料理をあらかじめ自宅で作ってお客さま宅へ向かう:調理の要求があがる
- お菓子・料理・缶ジュースなどをもらう:物をあげると喜ぶと勘違いする
- 集金時の端数をサービスする:値切るようになる
- 特定のお客さまだけ過剰なサービス(大掃除など):他のヘルパーにも強要する
- 会社全体の従業員数を伝える:全員分の菓子折りをくれようとする
これは実際にあった一例です(他事業所も含む) 本当に気を付けましょう
「これはOK」な例
- お客さまのやり方に合わせるのはOK
例:フロアマットを10枚使う方の訪問の度に 毎回マット干しをする
これはお客さまがもともとやっていた「こだわり」ですね - 毎回 自前の仕事道具(エプロン・体温計・スリッパ・包丁など)を持参する
- 事務所で行っている年賀状や誕生日プレゼント
- 提責を通して行われる介護保険外サービス
困ったら事務所に相談
「事務所には黙っちょけば 分からんっちゃが」
ありますよね みんな そう言いますよね
でも ちゃんと断る勇気を持ちましょう
「あなたのため」 「事業所のため」 ひいては「地域社会の介護の質の向上のため」
そう心得ましょう
ここで もう一つ 例を挙げてみます
「黙っちょけば 分からんっちゃが」
そう言われて 断るタイミングを逃したあなたは お菓子をもらった
やがてそれは あたりまえになってしまった
お客さんは 「ヘルパーにしてあげた」といい気分になった
そして
他のヘルパーさんにも
「いいことをしてあげたい」
と思うようになった
次に来たヘルパーさんにお菓子をあげようとしたら そのヘルパーは
丁重にお断りをした
お客さんは
「このヘルパーは他人の気持ちを踏みにじるやつだ」
と思い 「最初のヘルパーしかよこさないように」と交代を事務所にせまった
もう このお客さんは 最初のヘルパーしか訪問しなくなった
ところがそのヘルパーさんの家族が重い病気にかかり 長期で休みをとらざるを得なくなった
もう このお客さまに支援に行けるヘルパーはいない 結局お客さまが困る
お分かりですね お断りする勇気がない方は 事務所に相談しましょう できれば 預からずにその場で連絡するのが理想ですね
一瞬の勇気か その後長く続く憂鬱感か どちらを選ぶと吉か すぐ分かりますよね
対策法
- 一番最初に 提責がきちんと説明する
- お茶1杯も もらわない(その時間算定できると思いますか?)
- 仕事以外では会わない 話さない 連絡をしない
- 連絡先は必ず事務所の連絡先を
- 終結したお客さまの電話番号は着信拒否 電話帳から抹消
- 転送電話から折り返しお客さま宅へ連絡する時は 非通知・もしくは事務所の電話から
- LINEができるお客さまは電話ではなくLINEworksでやりとりする
ルールが人を守るのではない 人がルールを守るから意味を持つ
よく上司からこういう話を聞きませんか?
規則っていうのは 結局はあなたを守るためにあるのよ!
確かに そういう一面はあるでしょうが 人間「自分のため」と思って頑張れない人はたくさんいます
だって「自分が我慢すればいい」と思ってしまうから
そうじゃないんです
ルールというのは 単なる概念です 実体なんかありません 絵空事と同じです
ルールが人を守るわけではありません
人がルールを守るから 意味を持つのです
このことを 忘れないようにしましょう