動画版は近日公開予定

はじめに

「赤本」とは?

介護保険業務をする上で 欠かせないのが「介護報酬の解釈」です 「社会保険研究所」というところから出版されています これには3シリーズあり

  1. 単位数表編:通称「青本」
  2. 指定基準編:通称「赤本」
  3. QA・法令編:通称「緑本」

とがあります

本のリンク先はこちら
法令のリンク先はこちら

赤本には 指定基準が掲載されています

このページの留意点

  • 管理者・サービス提供責任者を想定した内容です
  • 赤本を 以下に分類し解説します
    • お客さま関連
    • 従業員関連
    • 事業所関連
  • 法令に基づく 最低限のマニュアルです
  • 「方針」や「心構え」など 書類等による確認ができないものは 解説していません
    • 例:「基本方針」「提供困難時の対応」 など
  • 実地指導に耐えうる内容を心がけていますが 自己責任でお願いします

それでは さっそく見ていきましょう

お客さま関連

毎月チェックが必要

介護記録

  • 介護保険証の確認記録(第11条)
  • 審査会の意見を確認(第11条)
  • サービスの提供の記録(第19条)
  • 訪問介護計画書に基づく(第23条)
  • 担当者会議出席記録・ケアマネとのやり取り記録(第28条)
  • 記録の整備 2年保存(第39条)

※介護保険証のコピーをわざわざ紙で保存する必要はない
※記録はシステムに入力していればOK(紙である必要はない)
※サービス提供時間を1分単位で厳密に記録する必要はない(どうせ平均的な時間しか算定できない)
※訪問介護計画書以外のことを行っていないかチェックする(やっていれば算定できない)
※お客さまとのやり取りやケアマネとの情報交換 時間まで細かく記載しなくてもOK
※担会議事録をケアマネから入手する必要はない

領収・請求書等

  • 自己負担額分はお客様から集金(第20条)
  • エリア外の方は交通費を請求できる(第20条)
  • 領収書・サービス提供証明書(償還払いの方のみ)(第21条)

※紙で保存しておく必要はない システムに入力していれば十分
※償還払いの方のサービス提供証明書は レアケース 知っていればOK 請求されたら利用明細を渡せばよい

定期的(期間の定めなし)にチェックが必要

モニタリング等

  • 心身の状況等の把握(第13条)
  • 意向確認 相談 助言を行う(第23条)
  • モニタリングの実施(第24条)
  • 意向確認(第28条)

※初回のアセスメントは ケアマネからもらった情報でOK
※モニタリングは 毎月である必要はない あくまで「定期的」に(ケアマネの「モニタリング」と混同している人が多いですね)
※訪問介護計画書の評価で十分
※「モニタリング票」を 毎月ケアマネに渡す必要はない 連携の方法は 他にいくらでも考えられる(訪問記録の抜粋・LINE等での定期報告・口頭での定期報告など ケアマネと協議すればよい)

適宜チェックが必要

定期チェックは不要だが 事案が起きた時に作成・整備等が必要

訪問介護計画書

  • ケアプランに沿わなければならない(第16条・第24条)
  • 目標設定し計画的に状態の軽減・悪化防止を行う 適宜 (第22条)
  • 訪問介護計画書に基づく(第23条)
  • 説明・同意を得る(第23条・第24条)
  • モニタリング結果・目標を踏まえた訪問介護計画書の作成(第24条)
  • 交付義務(第24条)
  • 計画書の作成 記録の整備 2年保存(第28条・第39条)

※計画変更の度に作成
※ケアプランにないサービスは絶対NG
※訪問介護計画書に書かれたことしかヘルパーにさせない
※なので あらゆる事態を想定して作成すること
※作成日・同意日の確認する(ケアプラン策定後 ヘルパー訪問以前)
※意味ある目標を立てる
※訪問介護に対応したケアプランの本案を残しておくこと
※ケアプランの本案は お客さまが署名したコピーをケアマネからもらわなくても 例えば原案の変更点を手書きしたものでもOK

契約書・重要事項説明書

  • あらかじめ説明・同意が必要 (第8条)
  • 不当な水増し請求や割引の禁止(第20条)
  • 交通費は説明と同意が必要(第20条)
  • 利用申し込みに係る調整(第28条)

※契約書は何より真っ先の日付でなければならない
※契約がなければ アセスメントや情報収集はできない
※緊急やむを得ない場合は とりま口約束でもOK 後日その日付で契約をもらうか やむを得なかった理由を介護記録に記載する
※重要事項説明書は 契約時や法改正時に必要
※契約・重要事項に同意したサービスしか利用料を請求できない
※プライバシーポリシー(個人情報の利用に関する同意)は契約書・重要事項説明書に記載していればOK

プライバシーポリシー(個人情報の利用に関する同意)

  • プライバシーポリシーの同意(第33条)

※別に同意書を準備しなくても 契約書や重要事項説明書で同意を得ればOK

苦情関連

  • 苦情ポスト・Web受付など 苦情窓口等の措置・苦情内容の記録(第36条)
  • 記録の整備 2年保存(第39条)

※苦情受付窓口等は 最初に設置すれば あとはチェックする必要なし
※苦情がなければ作成する必要はないが その仕組みは整備しておく

事故関連

  • 事故が起きた際は記録(第37条)
  • 記録の整備(第39条)

※事故の日時や経緯 とった措置 対応等
※事故発生時は ケアマネ・お客さま・自治体等に報告
※損害賠償には応じる
※通常利用時の家電の故障は弁償する必要はない(法定耐用年数を確認する)

身体拘束関連

  • やむを得ず身体的拘束を行う場合の記録(第23条)
  • 身体拘束等の措置・改善の内容(第36条)
  • 記録の整備 2年保存(第39条)

※在宅ではまず考えられないが 家族がそれを希望するなどの時は 記録する
※4点のベッド柵 認知症の方を部屋や家に閉じ込めるなどか
※こういう法律があるということを知っていればとりあえずOK

その他のレアケース

  • お客さまが訪問介護の指示に従わない為に要介護度が悪化した時(第26条)
  • お客さまが不正給付した時(第26条)
  • 国保連への報告義務(第36条)
  • 第26条関連の記録の整備 2年保存(第39条)

※レアケースなので こういうのがあることを知っていればOK

従業員関連

毎月チェックが必要

勤務表

  • ヘルパーは2・5人以上(第5条)
  • 提責は40名ごとに1人以上(第5条)
  • 管理者1人を配置(第6条)
  • 勤務体制の確保(第30条)

※十分な人数を確保できていれば さほど気にする必要はない
※土日・祝日を営業日をしている場合は注意
※有給・産休・育休・研修会出席なども出勤扱い
※システムを導入していればその履歴が記録となるので 別途紙で記録する必要はない

半年おきにチェックが必要

感染症・まん延防止対策

  • BCPのヘルパー周知・研修・訓練(第30条の2)
  • 感染症予防・まん延防止対策委員会議事録 議事録の周知(第31条)
  • 感染症・まん延防止の研修記録・訓練記録(第31条)

※委員会はテレビ電話・グループLINEなどの会議でもOK
※研修・訓練は期間の定めはないが 委員会とともに行った方が合理的
※自然災害BCP関連も機関の定めはないが 感染症とともに行った方が合理的

定期的(期間の定めなし)にチェックが必要

ミーティング・研修計画・研修・虐待防止等

  • ミーティング記録など ヘルパー能力・希望を踏まえた業務管理(第28条)
  • 研修計画・研修会記録(第28条)
  • 研修計画・研修会記録(第30条)
  • 虐待防止委員会の議事録・周知記録 虐待防止対策委員会を定期的に行う(テレビ電話可) 結果をヘルパーに周知(第37条の2)
  • 虐待防止研修を定期的に行う(第37条の2)

※ややこしいので ミーティング・研修・委員会などは 併せて行った方が合理的
※特定事業所加算などを考慮すると 前年度までに翌年度の計画を立て 従業員ごとに違う研修計画を立てた方がよい
※虐待防止は 委員会・周知が必要

適宜チェックが必要

定期チェックは不要だが 事案が起きた時に作成・整備等が必要

資格証・身分証・手順書など・労働契約書

  • ヘルパー資格証 提責資格証(第5条)
  • 身分証の携行 身分証の提示(第18条)
  • 手順書などでヘルパーに適切に指示(第28条)
  • 事業所ヘルパーによる業務の提供(第30条)
  • 辞めた職員も含めた秘密保持義務(第33条)

※資格証は就任時に写メを保存しておけばOK
※身分証は雇用した時に従業員に渡せばOK
※手順書は 訪問介護計画書とまとめてOK もしくはグループLINE等での指示でもOK
※他の事業所からヘルパーを借りてきてはならない 掛け持ちでもいいので雇用契約を結ぶこと
※プライバシーポリシーは 労働契約書に条項を盛り込んでおけばOK

事業所関連

毎月チェックが必要

会計帳簿

  • 会計を区分する(第38条)

毎年チェックが必要

損害賠償保険証書

  • 事故時の損害の賠償を行う(第37条)

事業所の自己評価の記録

  • 自己評価義務(第22条)

※独自の自己評価でもよいが ワムネットに毎年アップしていればそれでもOK

定期的(期間の定めなし)にチェックが必要

感染症・非常災害のBCP

  • 感染症・非常災害のBCP策定 定期的な見直し(第30条の2)

見直しの履歴を残しておくと 別に記録する必要がない

適宜チェックが必要

定期チェックは不要だが 事案が起きた時に作成・整備等が必要

指針関連

  • 運営規定(第29条)
  • パワハラ・セクハラ指針を整備(第30条)
  • 感染症予防・まん延防止の指針を整備(第31条)
  • 虐待防止指針を整備(第37条の2)
  • 虐待防止の担当者を置く(第37条の2)

※一度作ればとりあえずOK
※感染症はBCPとひとまとめにすると合理的

その他掲示等

  • 運営規程の概要・勤務の体制・重要事項の掲示(第32条)
  • 必要書類をいつでも自由に閲覧できるようにすれば掲示に変えることができる(第32条)
  • 重要事項のウェブサイト掲載義務(第32条)

※ウェブサイトの掲載義務は ワムネットでも代替可能
※しかし無料ブログでもSNSでもいいので ウェブサイトを作っておいた方が合理的
※掲示関係はウェブサイトですべて解決する

まとめ

  • お客さま関連書類
    • 毎月チェック:介護記録・領収・請求書等
    • 定期チェック:モニタリング等
    • 適宜チェック:訪問介護計画書・契約書・重要事項説明書・プライバシーポリシー・苦情関連・事故関連・身体拘束関連・その他レアケース
  • 従業員関連
    • 毎月チェック:勤務表
    • 半年チェック:感染症・まん延防止対策
    • 定期チェック:ミーティング・研修計画・研修・虐待防止等
    • 適宜チェック:資格証・身分証・手順書等・労働契約書
  • 事業所関連
    • 毎月チェック:会計帳簿
    • 毎年チェック:損害保険証書・事業所の自己評価記録
    • 定期チェック:感染症・非常災害のBCP
    • 適宜チェック:指針関連(運営規定・パワハラ・セクハラ・感染症・まん延防止・虐待防止)・その他掲示等