施設の種類
介護保険法 の類型 | 指定権者 | 説明 |
---|---|---|
居宅 サービス | 都道府県 | 特定入所者生活介護 (介護付有料老人ホーム) |
施設 サービス | 都道府県 | 介護老人福祉施設(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院(旧:介護療養型医療施設) |
地域密着型 サービス | 市町村 | 小規模多機能型居宅介護 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 地域密着型特定施設入居者生活介護 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 |
住宅型有料老人ホーム | 老人福祉法に定められた居宅サービスが受けられる民間の高齢者施設 |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 高齢者住まい法に定められた居宅サービスが受けられる民間の高齢用住宅 |
軽費老人ホーム・ケアハウス | 老人福祉法に定められた居宅サービスが受けられる自治体または社会福祉法人の施設 |
養護老人ホーム | 老人福祉法に定められた経済的・精神的理由の高齢者を養護する自治体または社会福祉法人の施設 |
なぜこんなにややこしい?
法的根拠が違う
介護保険法・老人福祉法・高齢者住まい法 それぞれどの法律に定められているかで種類が変わります
指定権者が違う
指定権者とは 管轄する自治体のことです 延岡市内の事業所の場合 指定権者は「宮崎県」と「延岡市」とがあります
「居宅」という新しい概念が分かりにくい
昔は「在宅」という言葉が使われていました おそらく介護保険法がはじまった2000年から「居宅」という言葉が使われはじめ 今では「居宅」と「在宅」とは区別されます
居宅サービスは アパートやマンションのように提供された住まいの場に入居する方を含みます 法律上「自宅扱い」です
- 在宅:自宅に住み 外部から介護サービスを受ける
- 居宅:アパートやマンションのように 提供された住まいの場に入居し 外部から介護サービスを受ける場合を含む ただし 介護サービスを併設している事業所が多いため 施設と見分けがつかないが 施設とは区別される
- 施設:施設に入所し 施設内サービスだけで完結 例えば車いすなども施設が準備する
「建物」と「中身(サービス)」でも区別されている
前項で触れましたが 必要な介護を外部から受けるのか 施設内に準備されているのかによっても 種類が変わります
ただし 住まいの場を提供する事業所のほとんどが外部サービスを併設しています この場合は 見た目で施設サービスなのか居宅サービスなのか 区別はつきませんよね
選択できない施設(のような)サービスもある
一見すると施設や住まいの場に見えるけど そうじゃなかったり 条件があって通常は選べない事業所もあります
- 養護老人ホーム:経済的・精神的など市が必要と判断した方のみ
- 地域密着型特定施設入居者生活介護:延岡市にない
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護:延岡市にない
- 介護老人保健施設(老健):在宅復帰するための施設で医師の許可が必要 おおむね3~6ヶ月で出なければならない
- 介護医療院(旧:介護療養型医療施設):長期入院の方で病状が安定している方のみ 医師の許可が必要 施設というよりは病院に近く 病院から転院される方が多い
通常 利用できる施設の種類
いろいろややこしい説明が続きましたね
「要するに選べる施設ってどれ?」と思いますよね
見分ける方法は「種類」
見分ける方法は 施設の種類を見るしかありません 建物の構造や外観では見分けがつきません
利用できる施設の種類一覧
種類 | 通称 | 介護 | リハビリ等 | 車いすなど | 病院受診 |
---|---|---|---|---|---|
介護老人福祉施設 | 特別養護老人ホーム (特養) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
認知症対応型 共同生活介護 | グループホーム | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
住宅型有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | × | × | × | × |
サービス付き 高齢者向け住宅 | サ高住 | × | × | × | × |
特定入居者生活介護 | 介護付有料老人ホーム | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
軽費老人ホーム | ケアハウス | × | × | × | × |
費用や入所(入居)待ちの目安
合計費用の傾向
一般的に 外部サービスを利用する事業所の方が 費用の合計が高くなる傾向があります 介護やリハビリなどを一体的に行ってくれる事業所は10万円を切ります 住宅型有料老人ホームはおおよそ15万円程度 とはいえ延岡市内の有料老人ホームは都会に比べるとはるかに安いですね
意外と無視できない通院費用
多くの事業所には連携病院があり 定期的に往診してくれます 連携病院がない事業所や 他の病院を受診したい時は 家族が対応しなければなりません 手間もさることながら 通院に係る福祉(介護)タクシー代や病院付添を依頼すればその費用は当然自費です
ですから 通院に係る事業所の体制は 施設選びの一つのポイントになるでしょう
入所(入居)待ちの傾向
あたりまえですが 合計費用や手間のかからない施設サービス等は 人気があります 100人待ちで半年や1年待つこともざらにあります
実際のところ 選べるほど延岡市の施設に空きはありません 自宅近くに空きのある施設があれば「ラッキー」くらいの感じ ですからお目当ての施設に入所申し込みをして 空いている施設で順番待ちをする方も多いようです
老人ホームの今後
延岡市の人口推移をみるに 高齢率は今後も増加します しかし高齢者人口は今がピーク 今後横ばいが続き そのうち緩やかに高齢者人口は減っていきます
高齢率は増加するのに 高齢者人口は減っていく?
「なぜ?」と思われた方もいらっしゃるでしょう それは 若い人の減少が高齢者の減少よりも大きいからです 高齢者人口は緩やかに減っていくが それ以上に若い人の人口が減っていくから 高齢率は増加し 高齢者人口は減っていくのです
「鍵」は高齢者人口
高齢者人口が変わらなければ 老人ホームの数も増やす必要はありません ましてやこれから緩やかに減少していくため 民間企業は投資しないでしょう ですから既存の民間老人ホームは生き残りをかけ 質の向上に注力するようになると予想できます
在宅も選択肢に残しておく
どんなに快適な老人ホームでも 多くの人は自宅の方がいいに決まってます 今は介護職員の担い手不足が問題になっていますが それはどの業界でも同じこと 今後 ICTなどを活用した 手間のかからない介護技術開発が進むと思います 例えばおむつや介護用ベッドをとっても 一昔前とはずいぶん変わりました ですから 「認知症=老人ホーム」 「トイレができない=老人ホーム」 と安易に結びつけるのではなく 「在宅で生活できないか」という考えも 頭の片隅にでも残しておいた方が 本人・家族双方のためにもいいかも知れませんね