「従業員は、いわば会社の顔」
「従業員・お客様・会社の危機はすべてつながっていることを忘れずに!」

リスクマネジメントとは?

あらかじめ予測して対策することにより 被害を最小限にすること

私たちが守るべき者は、「人命」「仕事」「信頼」ですが 「事故発生ゼロ」は不可能です 事故発生により これらが失墜する可能性があります しかし あらかじめ対策を講じておくことにより 被害を最小限にしたり 逆にお客様の信頼を得ることもあります

なぜ、リスクマネジメントが必要か?

事故後に反省するより あらかじめ色々と想定しておいたほうが 事故回避の可能性が高い

従業員は会社の顔 介護の花形職業です お客様は 従業員の皆さんの仕事ぶりを見て 会社全体 ひいては「あ~介護ってこの程度か」と 在宅系介護事業全体をそう思ってしまいます 「施設から居宅へ」「住み慣れた場所で云々」などの国の施策は 既知の事実でしょう ホームヘルパーのような在宅介護の重要性はこれからますます高まります 高い意識で仕事しましょう! 

事故発生時における施設の特徴

2000年国民生活センター調査に次のようなものがありました

消極的な施設の特徴

  1. お客様の心身機能の衰えが原因で 止むを得ないことにしている
  2. 職員個々人の不注意と言うことで済ませている
  3. 誰もいないところで起こった事故は 原因不明として扱う
  4. お客様の世話をしてあげているという考え方が強い

積極的な施設の特徴

  1. 心身機能の低下に対応できなかった介護の内容を反省し 機能低下にあった介護を検討し 具体的な対策を取っている
  2. 個人の不注意はなぜ起きたのか マニュアルに問題があったのかなどを明らかにし 個々の問題の解決に止めず 全体の見直しにつなげる
  3. 誰も見ていないところで発生した事故については 介護に関った職員に確認したうえで 推測できる原因を出し合い 改善に結び付けようとしている
  4. お客様の立場に立つことを心がけている

古いデータですが 人間の本質は変わりません これをわかりやすく表にまとめて見ましょう。

積極的な事業所消極的な事業所
年寄りだから 仕方がないもっと対策できたはずだ
ああいう性格の人だから 仕方がない
事故を起こした職員が悪い職員全体の問題だ
事故原因がわからない徹底的に考えよう

「介護をしてあげる」意識
お客様本位

リスクとリターン

リスクとは 価値の損失の可能性・価値の獲得ができなくなる可能性

例えば

 転倒事故の場合リスク
=健康・行動の自由が喪失する可能性
=賠償責任でお金を喪失する可能性

 オムツ交換の忘れの場合リスク
=清潔を獲得できなくなる可能性リスク
=信用や評判が獲得できなくなる可能性 

リターンとは みかえり リスクの逆

リターンがあるところには必ずリスクがある
例えば

立場リターンリスク
従業員信頼・やりがい・給料苦情・ストレス・減収
お客さま望んだ生活・QOLの向上納得できない生活
不自由な生活
会社信用・タスク達成・利益不信感・事業縮小・減収

活動には必ずリスクとリターンが伴う しかし すべてのリスクを考慮することは不可能
したがってどのようなリスクがあるのかを考え リスクの大きさと頻度を考慮すると整理されやすい

 お客さまのリスクマネジメント可能性が高い可能性が低い
損害が大きい 火事 溺死
損害が小さい 打撲 褥瘡

 表の内容は 従業員とお客様によって変わります 画一的に覚えるのではなく ちゃんと自分の頭で考えることが大切です! 

リスク・マネジメント=サービス品質の改善

再度 リスクマネジメントについて 詳しく考えてみます
リスク・マネジメントとは

 「危険や事故に対して 可能な限り事前に予測・予見し 適切に防止し 可能な限り結果発生を回避し 万一の事故には迅速に対応し また処理して被害の拡大を防止し 損害を最小限に抑えること」

さらに

「保険や安全対策 経営戦略などを活用して 事業の偶発的あるいは人為的なリスクを発生させないようにし もしリスクが発生した場合には それを最小限にし さらに実現したリスクに適切に対処する経営管理の方法」

  つまり 単に事故防止 安全対策という限定された目的のためのものではなく サービスの質を向上させる経営品質改善そのものである
火事・転倒・剥離・打撲・骨折・やけど・溺死・誤飲・誤嚥・感染・器物破損・水の出しっぱなし・笑顔・信頼・信用・性格の合わないお客様や家族
他事業所であってもいつも笑顔で接していれば マナー 言葉遣い 所作 関係がよくなり 信頼を得ることが出来る
信頼があれば 万一の事故でも クレームが起きないばかりか
「このヘルパーさんは 緊急時にも 親身になって 対応してくれる 安心できる 信頼できる!」
となり 事故が信頼の増幅に繋がる可能性だってある
また 他事業所が助けてくれたり「ひまわりさんは信頼できる」「ひまわりさんなら間違いない」と仕事も増える また従業員自身のやりがいにも繋がるのである

見落とされがちなリスク

サービスには4種類の分類がある 

  1. 顧客要求事項→ケアプランの内容
  2. 組織で規定した要求事項→曜日、回数、内容
  3. 法で定められた要求事項→通知、通達、事務連絡など
  4. 暗黙で了解されている要求事項→事故・人権侵害・その家やその人のルール

1~3を守るのは、当たり前。問題になってくるのは4であり、逆に4が満たされれば、お客様の満足度が上がる。例えば、誰でもレストランに行って、ごきぶりやねずみを見たら、いやな気分になる。ゴキブリやねずみの駆除は、契約内容にはないが、「当たり前のこと」と暗黙で了解されている事項である。これと同じことが、訪問介護においても言える。 例:まさか介護事故で命を落とすことはないだろう  まさか介護中の火の不始末で、家が火事になることはないだろう  まさか子ども扱いされることはないだろう  まさか自分の羞恥心を無視されることはないだろう  まさかヘルパーさんが入ったことで、家の物が壊れることはないだろう etc.

組織的要求←これらを守るのは当たり前
顧客要求
法的要求
暗黙に了解されている事項←問題は、ここ!

ヒヤリ・ハットの訓練

ヒヤリ・ハットの取り組みは、リスク・マネジメントに不可欠である。しかし、従業員・サービス提供責任者・ケアマネージャ等を含め、「ヒヤリとする能力」「ハットする能力」がなければしょうがない。

作業環境注視能力
廊下が濡れているから、コケるかもしれない!

「注意喚起しよう」
「車いすのブレーキ確認をしよう」

視野を広くとる能力
ポジショニング

お客様が常に目に入る位置で作業する
後ろを向いて掃除しない

対人介護技術ケガをさせない対人介護技術

キーワードは「人命」「仕事」「信頼」

私たちが守るべきものは、つまるところこの3つがキーワードになります

人命私たちは、エッセンシャルワーカーです。日常生活に関わりますので、命を守る仕事ともいえます。それが、お客様や家族にはリターンです。しかし、反面、リスクがあることも忘れてはなりません。また、お客様だけでなく、自分の家族や他の職員の命や健康も守らなければなりません。
仕事事故にはものすごくお金がかかります。検査のためのレントゲン一枚でも、診断費用を誰が払うのか、保険か、事業所か、と言う問題になります。また、トラブルに対応する管理者の時間をお金に換算すると、膨大な額になります。また、書類の不備等で、介護保険料支払いの払い戻しや介護保険事業の認可取り消し等になると、会社などいっぺんに吹き飛んでしまい、皆さんも仕事を失うことになります。
信頼一回の単純なミスでも、そのうわさに尾ひれがつき、または、長く続き、地域の信頼関係が失われる可能性があります。大きく信頼関係が崩れたら、この事業そのものの存続が出来なくなります。手抜きによる事故は絶対にダメ。仮に毎日真剣に仕事をしても、事故は起きます。その時、信頼関係を強める方向での対処をしなければなりません。事故を隠さず、報告し、公開し、共有することで、事業所自体の信頼を強めてゆくことになることを、肝に銘じてください。

その他、職員のやる気喪失、精神の落ち込むみなどもリスクです。すると、お客様などの前で、笑顔が作れなくなり、チームの輪が乱れ、事業所の評判がおち、収入が減ると、いっぺんに経営に跳ね返ってきます。

いちばん大事なことは、自分の頭で考えること

これまでいろいろと述べましたが、小難しい横文字を勉強するよりも事故後に反省するより、自分の頭であらかじめ色々と想定おくのが一番です。人に言われたのではダメです。自分で考えることが大事です。みなさんは、これまでいろいろな人生を歩み、紆余曲折もあったかも知れませんが、結局は、今、自信の意思で介護の仕事についていると思います。それだけで、十分介護に向いています。せっかく自分の意思で今の職についているのですから、仕事の中身も自分でいろいろと考えて試行錯誤を繰り返したほうが、楽しいですよ!