「落ち着いて適切な判断を!」
在宅や訪問系のサービスの大きな特徴は基本的に一人で行動することです。緊急事態は、予期せず起こりえます。そんな時のために、あらかじめマニュアルを頭に入れておきましょう。
緊急時の手順
- いつもと違う!
- 環境確認(近づいても安全か、周囲の確認)
- 体調、意識の確認 - 意識がなければ、救急車の手配!(心肺蘇生マニュアルはこちら)
- 「救急」、「消防」、「警察」かそれ以外かの判断
- 緊急性がある場合は、処置を行う
- 緊急性がない場合は、事務所、家族、ケアマネに連絡。
- でき得る処置を行う。
起こりうるケース
- 転倒・転落・滑落
- 誤飲・ムセ込み・誤嚥・誤食
- 誤って服薬、点眼、塗布、貼付
- 火傷
- 食中毒・感染症
- 病気による急変
- 浴槽内で溺れる、入浴時のヒートショック
- 小火(ボヤ)、火事
- 紛失、破損
- 行方不明
- 事故
- 自然災害
一つ一つ挙げればキリがありませんね。まずは、緊急性があるか、そうでないかの切り分け、判断を行いましょう。
救急搬送(119番)が必要な場合
命に関わる場合、もしくは、重大な後遺症に関わる場合は、即座に救急車(119番)に連絡しましょう。時間帯によっては、救急医療電話相談(延岡市を含む宮崎県北地域)という方法も考えられます。
救急搬送が必要なケースは、概ね次の通り
- 命にかかわる
- 重大な後遺症にかかわる
- 心肺停止
- 反応がない
- 骨が見えているような骨折
- 大量出血
- 激しい痛み
- 40℃近い高熱
救急車を呼ぶのに注意する点
政府広報オンラインに次のような情報があります。あらかじめチェックしておくといいですね。
もしものときの救急車の利用法 どんな場合に、どう呼べばいいの?
こんな時は、救急車じゃない!
- そもそも迷っている・・・迷う余裕があるなら、主治医に相談
- 本人・家族が救急搬送を拒否する・・・命に関わらない場合は、主治医に相談
- 寝たきりで運べないだけ・・・福祉(介護)タクシーを呼ぶ
- なんとなく不安・・・主治医に相談
- 総合病院で診察してもらいたい・・・当該病院に相談
- 明らかに死後時間が経過している・・・警察に連絡
救急車を呼ぶ場合は、概ね次のようなことを聞かれますので、あらかじめ心の準備しておきましょう。
- 正確な住所(区画整理で番地が変わった地域は要注意!)
- 周囲の目標物
- 持病・既往症・主治医・かかりつけ医
- 現在の症状や経緯
- 家族の連絡先
- 救急車に1人は同乗を求められます
消防隊やレスキュー隊(119番)が必要な場合
- 火事・・・当たり前ですね
- 高所や狭い場所に閉じ込められた場合
- 認知症等のお客様が、危険な場所にいる場合
- 土砂災害等で閉じ込められた場合
私は以前、施錠とドアチェーンをしっかりとした高齢の女性が体力低下し、歩けなく声も聞こえずに意思疎通できない状況で、誰も家に入れなかった場合に要請したことがあります。
警察(110番)が必要な場合
- 明らかに泥棒が入った場合
- 明らかに詐欺被害等に遭った場合
- 死後時間が経過していることが明らかな場合
- 虐待が明らかな場合
- 交通事故やひき逃げを目撃した場合
- ケンカしている人や悲鳴を聞いた場合
- 迷子の人を見た場合
- その他、法令に明らかに反している人を見た場合
※ちなみに、訪問系の介護サービスをしていると、高齢者の「物盗られ」の訴えはよくあることです。私は10年以上介護に関わっていますが、本当の盗難に遭遇したケースは一度もありません。確率の問題なのでしょうが、注意が必要です。
緊急性の低い場合
連絡の優先順位
- 担当サービス提供責任者
- 管理者
- 会社
- 担当ケアマネージャー・家族・訪問看護・かかりつけ医・後見人等
※ケースによっては、ケアマネや家族、訪問看護・かかりつけ医が優先される場合もあります。恐らく訪問前に担当サービス提供責任者から説明があると思いますので、あらかじめ確認しておきましょう。
でき得る処置を行う
連絡をした後に、然るべき処置を行います。手当や避難等を行いましょう。ちなみに、医(療)行為にあたらないものは次の通りです。
- 体温測定
- 血圧測定
- パルスオキシメーターの装着
- 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等の処置
- 医薬品の使用の介助(一包化された内服薬の内服・舌下錠も含む、軟膏塗布、湿布の貼付、点眼、座薬挿入、鼻粘膜への薬剤噴霧)
- 爪切り(ニッパーを使わない)・やすりかけ
- 耳掃除
- ストマ装具のパウチに溜まった排泄物を捨てる
- 自己導尿の補助のためのカテーテル準備、体位の保持など
- 市販の使い捨て浣腸器による浣腸