認知症とは
認知症ケアの基本
接し方は 健常者と変わらない
巷には形ばかりの誤情報にあふれています 「認知症」のレッテルを張って あたかも特別な接し方をしないように気を付けましょう 下記の箇条書きをみてください 根本は健常者の接し方と変わるところはありません
- お客さまの話をよく聞き 感情を理解 プライドを尊重する
- 意図的に感情を表しても 従業員の頭の中は いつも理性的に
- お客さまの環世界 つまり お客さまから見た世界に寄り添う
- 介護で習ったことが正しいとは限らない それを相手に押し付けない
- 事故や健康は一番に気を付ける
具体的な接し方の例
- 名前で呼ぶ
- 言葉だけでなく 身振り手振りを使う
- 否定的な言葉を使わない
- 事故や健康を害する場合は明確に「No」を伝える
- できるだけ手を出さず 見守る
- ともに 行動する
- 文章ではなく 単語で応える
ケース別対応
失禁
- お客さまのプライドに配慮する(他人にみられないように・布で覆うなど)
- ネガティブな表情をせず ただ淡々と必要な作業を行う
トイレ以外の場所での排泄
- 居室をトイレ近くに変更する
- ポータブルトイレを設置する
- 明らかにトイレと分かる工夫をする
便器が便器だと分からない状態は 独居の限界かも知れませんね
弄便・オムツを外す
- 「トイレ以外の場所での排泄」に準じる
弄便・オムツ外しの多くは「不快感」や「処理に困惑」の結果であることが多い
したがって トイレなどで排泄でき 未然に防ぐ工夫を
徘徊
- 目的無く徘徊する人はいない
- 目的が言えないのは 途中で忘れるか 言いたくないから
- 「行く動機」を明らかにする
- 「行く動機」が達成したこと もしくは 状況(もうすぐ夜になる等)を伝える
- 近隣の散歩目的の場合は 見守る 制止しない
- 遠くに行く場合 勤務時間内に対処できない場合は 提責やケアマネに相談
- 近隣の人や関係機関にあらかじめ連絡をしておく
- GPS(スマホアプリでも可)などを検討する
室内であれば「『転倒』予防マニュアル」の「動くから」の項を参照してください
屋外に行く動機の多くが畑などの「様子を見に行く」です 今は別の人が責任もって管理している旨を伝えましょう
昼夜逆転
- 根本原因は認知症ではない
- 日中の運動不足が根本的な原因
- 朝起きるインセンティブを探し伝える
- ケアプランに日中の活動を盛り込む
- 「夜寝ない理由」を明らかにする
安易な睡眠剤の導入は 一歩間違えれば「身体拘束」と変わりません
基本的に「夜型人間」が「朝型人間」になることはありません 朝型のメリットと夜型のデメリットを理解してもらう他はありませんね
異食
- 異食行動をとるものを特定し 近づけない
- 心が満たされるよう 充実できるケアプランに見直す
- 日中の活動を増やす
食べ物の判断がつかないようであれば 独居の限界かもしれませんね
食事を摂らない
- まれに疾患による場合があるため 脳神経外科の受診を勧める
- タンパク質を優先的に摂る工夫をする
- それでも摂らない場合は 家族と相談後 好きなものを摂ってもらう
- 好き嫌いは あきらめる
- 日中の活動を増やし 規則正しいケアプランに見直す
「食べない問題」の切り分けは 体重の増減で確認します 主観的な判断はNGです
多くの場合 知らないところでお菓子などを食べていることが多いですね
食べたのに食事を食べてないという
- お茶などを準備し 話を聞いて本当に空腹なのか確認する
- 用意できるものを準備して食べてもらう 多くは少量で済む
- 「過食症」はめったにいないが 体重が増え続ければ 医師への相談を提案する
- 日中の活動を増やし 規則正しいケアプランに見直す
「過食症」の切り分けは 体重の増減で確認します 主観的な判断はNGです
「ごはん食べてない問題」は おおむね「することない」のが原因 日中の活動を検討しましょう
物盗られ妄想
- そもそも信頼関係ができていれば 起こらない
- 必要のない私物は持っていかない
- 日中の活動を増やし 規則正しいケアプランに見直す
- お客さまの貴重品にむやみに触れたり 聞いたりしない
- お客さまが困っていたら 一緒に探す
- よく無くすものをピックアップしておく
- 財布・通帳・印鑑などは 同じ場所に収納する
- 家の鍵などは 家族などと相談して コピーを作っておく
「物盗られ妄想」の原因の多くは「欲求不満」と「信頼関係ができていない」ことです
拒否
- 「接遇_拒否に対する声掛け方法」を参照してください
お互いに信頼ができていれば あまり起きないものです それでも拒否がある場合は 計画を見直しましょう
お客さまの暴力や暴言
- 「お客さまからのハラスメント」を参照してください
お互いに信頼ができていれば 認知症が原因ではありません 欲求不満が原因の場合は ケアプランを見直しましょう