はじめに
今回は 生活援助 の解説です
ヘルパーさんが お客さまからよく言われる質問の上位が
お客さま:「介護保険で何ができるの?」
ヘルパー:「・・・」
だと思います
最初に結論を言ってしまうと
ケアプランに書かれているサービスしかできません
介護保険で「できる」「できない」以前に そこを 勘違いしないようにしましょう
「できるサービスは何?」「何ができないの?」と聞いてくるお客さまは 間違いなくヘルパーのことを「家事代行サービス」と勘違いしています
一度勘違いしたお客さまは もう二度とその勘違いはなおりません
このことを よくよくお忘れにならないように
介護保険のヘルパーは お客さまの自立支援が目的です
なお 介護保険のヘルパーが「できること」や「できないこと」については こちらのページを参照ください
「青本」とは?
留意点
- 訪問介護のうち生活援助の基準です
- 単位数計算や加算などの解説はしていません
- 青本の記載以外にも 妥当と思われる地方ルールを盛り込んでいます
- 地方ルールのすべてを網羅しているわけではありません
生活援助とは
「生活援助」とは 介護保険の訪問介護で行う「家事」です
一言に「家事」といっても幅広いです 「昔は緩かった」らしいですが 今は何でもやっていいわけではありません それはそれはとっても厳しい条件があります・・・
それではさっそく 中身を見ていきましょう!
条件
- 身体介護・通院等乗降介助 以外であること
- ケアプラン・計画書に記載されていること(緊急でも絶対ダメ)
- 掃除・洗濯・調理などの日常生活の援助 及び 一連の行為
- 仮に お客さまの病気や障がいが治ったら 自身で行うことができる行為
- 基本的に 独居のお客さまのみ
- お客さまの家族が障がいや病気などで日常生活の援助ができない(ケアプラン・計画書に記載)
- その他 やむを得ない理由で 家族が援助できない(ケアプラン・計画書に記載)
禁止行為
次のような行為は生活援助の内容に含まれないものであるので留意すること
- ① 商品の販売や農作業等生業の援助的な行為
- 生業:生活していくために必要な仕事
- ② 直接本人の援助に該当しない行為
- 家族のための行為や 家族が行うことが適当な行為
- 家族の洗濯や掃除など
- 来客のお茶出しや食事の手配など
- 洗車など
- 「本人が家族に頼みづらい」という理由
- 家族のための行為や 家族が行うことが適当な行為
- ③ 日常生活の援助に該当しない行為
- ヘルパーが行わなくても日常生活を営むのに支障がない行為
- 庭掃除・草木の水やり・草むしり・ペットの世話など
- 日常的に行われる家事の範囲を超える行為
- 家具や電化製品の移動・修理・模様替え
- 大掃除・窓のガラス磨き・床のワックスがけ
- 家屋の修理・ペンキ塗り
- 植木の剪定などの園芸
- 正月・節句などの特別な手間をかけて行う調理
- ヘルパーが行わなくても日常生活を営むのに支障がない行為
算定できないケース
次のケースは 生活援助で算定できません
- 身体介護の一連の行為
- 例:食事介助の配下膳・排泄介助の簡単な掃除
- 単なる本人の安否確認や健康チェック
- 若干の生活援助をこじつけてもダメ
- サービス準備・記録のみ
- 家族がいる場合
- 世帯分離・二世帯住宅・別棟に家族がいる場合もダメ
- 日常生活に必要のない家事
- やったことがない・もともと行っていない家事
- ケアプラン・計画書に載っていない家事
- 生活援助は「緊急時訪問介護加算」は算定できません
- 20分未満
基本的に生活援助は 禁止される方向であることを 頭に入れておきましょう
こういうのはOK
- 生活援助に伴い若干の「動作介護」を行う場合
- 二人で身体介護を行い その後一人だけ残って生活援助を行う場合は それぞれ別々「身体介護」「身体生活」に算定
- 家族が高齢で筋力低下し すべてではないが できない家事がある
- 家族の介護疲れで 共倒れになる可能性がある
- 係争やネグレクトなど深刻な問題がある
- 同居だが仕事などで日中独居である
それ本当に必要?サービスを決める前に 検討しましょう
ヘルパーは家事代行サービスではありません お客さまもケアマネも こう勘違いしている人が 非常に多いです サービス提供責任者は 仕事を受ける段階で 本当にその仕事が必要か よく検討しましょう
- 「やったことがないから」「家族に頼みづらいから」になってませんか?
- 住宅改修や環境整備で済みませんか?
- それを代行することで 本人のADLやQOLが下がりませんか?
- 自立支援を阻害することになりませんか?
- ヘルパーにしか頼めなくなっていませんか?
- 家族がやらなくなりませんか?
- 家族に障がいや病気があっても 工夫して家族ができませんか?
- 家族が障がい者手帳を持っているだけではありませんか?
- 家族の病気が治っていませんか?
- 代替手段がないか?
- 例えば買い物なら 通販などではダメか?
生活援助は「基本的に条件がとても厳しい」と考えておきましょう
具体的なサービス例
なお 項目の数字は 厚労省の告示で付された番号です
2-1 掃除
○居室内やトイレ、卓上等の清掃
○ゴミ出し
○準備・後片づけ
2-2 洗濯
○洗濯機または手洗いによる洗濯
○洗濯物の乾燥(物干し)
○洗濯物の取り入れと収納
○アイロンがけ
2-3 ベッドメイク
○利用者不在のベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
2-4 衣類の整理・被服の補修
○衣類の整理(夏・冬物等の入れ替え等)
○被服の補修(ボタン付け、破れの補修等)
2-5 一般的な調理、配下膳
○配膳、後片づけのみ
○一般的な調理
2-6 買い物・薬の受け取り
○日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む)
まとめ
お疲れさまでした
生活援助の内容はおおむね次の通りです
- 掃除
- ゴミ出し
- 洗濯
- アイロンがけ
- 布団の整備
- 衣服の整理・補修
- 調理
- 買い物
- 薬の受け取り
簡単ですね
ただし 介護保険の考え方や禁止事項・算定できないケースもありますので しっかり理解しておきましょうね 難しい方は とりあえず「ケアプランや計画書に記載されたことしかやってはいけない」これだけ覚えておけばOKです